乳がん、急増中!決して他人ごとではありません!!その①
梅雨明けしてから、酷暑が続いておりますが、皆さん夏バテ大丈夫でしょうか?
さて、今回は乳がんをテーマに取り上げました。
市川海老蔵さんの奥様、小林麻央さんや女子プロレスラーの北斗晶さんが闘病されているとのことですが、
一日も早く快復されることをお祈りします。その乳癌ですが、日本では急激に増加しています。
1999年には日本人の女性のがんの中で胃がんを抜いて、大腸がんに次ぐ第2位となっており、
2015年には9万人以上の人が乳がんにかかると予測されています。2013年の女性の死亡数を見ると、
乳がんは大腸、肺、胃、膵臓についで5位ですが、1年間の死亡者数は1万3千人を越え、
特に壮年女性層に限ると圧倒的に1位になっています。
この様に、乳がんは、日本女性の最も注意しなければならないがんになっているのです。
「どうして私が…」、これはがんと診断された患者さんが
誰しも最初に思う、いつわらざる気持ちです。
これまでの平穏な生活を中断される不安と怒り、
そしてどうしたらいいのか分からない絶望感…。
しかし、このような気持ちから立ち直り、がんと闘い、
がんを克服された患者さんはたくさんいらっしゃいます。
そして、乳がんは比較的性質の良いがんの一つであり、
優れた検査法や有効な治療手段が多いことから、早期に発見して適切な治療を受ければ、
ほぼ完全に治すことができます。また、たとえ進行していても、患者さんの病状に応じた有効な治療手段がありますから、
決してくじけることなく治療を続けてください。
その乳がん患者の年齢分布ですが、40歳台後半にピークがあり、欧米では閉経後に多いのに比べ、
アジアでは若干若い年齢で発症するようです。乳がんは、女性ホルモン(エストロゲン)が関与しているがんで、
初潮が早い・閉経が遅い・初産年齢が遅い・高齢で未産など、
女性ホルモンにさらされる期間が長いことが乳がんにかかりやすい条件です。
また、高脂肪食、肥満なども関与しますが、これは特に閉経後の女性で、
脂肪組織で女性ホルモンが作られるからだと考えられます。
そして、遺伝性の乳がん(乳がんにかかりやすい特定の遺伝子BCRA1/2)は
5~10%に上り、血縁で乳がんにかかった人がいる場合は要注意です。
乳がんの治療法は、患者さんのしこりの大きさや病勢の程度によって大きく異なり、
治療を受ける病院の方針によっても異なることがあります。
間違った情報を鵜呑みにすることなく、医師や看護師の説明をよく
聞き、よく話し合い、患者さん自身が十分納得した上で、治療を受けることが大切です。
ここからは、乳房のしくみとがんの発生について簡単に述べたいと思います。
乳房は、出産時に乳汁を分泌する大切な役割をもつ皮膚の付属器官です。
その中には「乳腺」と呼ばれる腺組織と脂肪組織、血管、神経などが存在しています。
乳腺組織は、15~20の「腺葉」に分かれ、さらに各腺葉は多数の「小葉」に枝分かれしています。
小葉は乳汁を分泌する小さな「腺房」が集まってできています。
各腺葉からは乳管が1本ずつ出ていて、小葉や腺房と連絡し合いながら、
最終的に主乳管となって乳頭(乳首)に達します。乳がんはこの乳腺を構成している
乳管や小葉の内腔(内がわ)を裏打ちしている上皮細胞から発生します。
がん細胞が乳管や小葉の中にとどまっているものを「非浸潤がん」あるいは「乳管内がん」、
乳管や小葉を包む基底膜を破って外に出ているものを「浸潤がん」といいます。
この他に、非浸潤がんが乳管開口部である乳頭に達して湿疹様病変が発生する
「パジェット病(Paget病)」の3種に大別されます。
同じ乳がんであっても細胞の性格はおとなしいものから活発なものまでさまざまです。
がん細胞の困る点は、秩序正しく働いている正常な細胞とは違い、
異常に増殖して局所で増大し、さらにはリンパ管や血管の中にもぐり込んで、
リンパ節や他の臓器に転移し、身体の正常な働きを妨げ破壊する性格をもっていることです。
乳がんにはさまざまな性格の細胞があるといいましたが、
幸いなことに、乳がんは他のがんに比べてゆっくり増殖するものが多く、
なかには小葉や乳管の中だけに拡がり、乳管の外には拡がらないもの(非浸潤がん・乳管内がん)もあります。
しかし、多くは乳管とまわりの基底膜を破って浸潤がんになっています。
がん細胞が体の各所に拡がると身体の正常な働きを妨げ、生命を脅かすことになります。
治療をせずに放っておけば、周囲の組織に拡がり、リンパ管を通ってわきの下(腋窩)の
リンパ節や鎖骨の上のリンパ節、あるいは血液を通って骨、肺、肝臓などの臓器へ転移します。
このような事態を未然に、あるいは可能な限り防ぐために、できるだけ早く診断し治療を開始しなければなりません。
また、しこりが大きかったり腋窩リンパ節に転移を認める場合でも、
最近では手術と他の治療法(化学療法やホルモン療法、放射線照射)を
組み合わせて治療効果を高めることが可能になってきています。