糖尿病って治るの?かかってしまった時の治療法とは?
そもそも糖尿病とは?
糖尿病とは、十分にインスリンが働かないために、
血液中を流れるブドウ糖が増えてしまう病気のことです。
インスリンはすい臓から出るホルモンであり、血糖を一定の範囲におさめる働きを担っています。
血糖濃度が高いままで放置される状態が続くと、血管が傷つき、
将来的に心臓病や、腎不全、失明、足の切断といった、より重い病気につながります。
また、著しく高い血糖があるだけで昏睡などを起こすことがあります。
こちらでは糖尿病の症状や具体的な治療方法について
記載していますので下記よりご覧ください。
糖尿病にはどんな種類がある?
糖尿病にはいくつか種類がありますが、
大きく分けると1型糖尿病と2型糖尿病そして妊娠糖尿病に分けられます。
1型糖尿病とは
1型糖尿病は、すい臓からインスリンがほとんど出なくなることで血糖値が高くなり、
生きるために注射でインスリンを補う治療が必要になります。
このことを、インスリン依存状態といいます。
2型糖尿病とは
2型糖尿病は、インスリンが出にくくなったり、効きにくくなったりすることで、血糖値が高くなります。
2型糖尿病の原因は遺伝的な影響に加え、
普段から運動をしないことや、食べ過ぎ肥満などの環境要因があると言われています。
2型糖尿病患者のすべてに当てはまるわけではありませんが
血糖値を望ましい範囲にコントロールするためには食事や運動習慣の見直しが大事です。
飲み薬やインスリン注射なども必要に応じて利用します。
妊娠糖尿病とは
妊娠糖尿病は、妊娠中にわかる
まだ糖尿病には至ってない血糖の上昇を言います。
糖は赤ちゃんの栄養となるため、多すぎても少なすぎても
成長に影響があることがあります。
そのため、お腹の赤ちゃんに十分な栄養を与えながら
細やかな血糖管理をすることが大切です。
妊娠中は絶えず赤ちゃんに栄養を与えているため、
お腹が空いている時の血糖値は、
妊娠していない時と比べて低くなります。
一方で胎盤から出るホルモンの影響で
インスリンが効きにくくなり、
食後の血糖値は上がりやすくなります。
高い血糖値は出産後に戻りますが
妊娠糖尿病を経験した方は将来的に
糖尿病にかかりやすいと言われています。
糖尿病にかかると寿命が縮む?糖尿病から引き起こされる様々な合併症とは?
日本人の平均寿命は、女性 87.3歳、男性81.1歳であり、世界でもトップクラスの長寿国です。
一方で、日本人の糖尿病患者さんの死亡時の平均年齢は、
女性75.1歳、男性71.4歳の結果となっています。
これらのことから、糖尿病患者の寿命は、
日本人の平均寿命より約10年短いことがわかっています。
糖尿病は神経や、目、腎臓などの器官に
様々な合併症を引き起こすことが確認されており
長く生きる上でのリスクが高くなります。
糖尿病の3大合併症は神経の障害、目の障害、腎臓の障害と
頭文字をとって「しめじ」と言われています。
神経の障害:糖尿病神経障害
目の障害:糖尿病網膜症
腎臓の障害:糖尿病腎症
糖尿病神経障害
糖尿病神経障害は、高血糖により、
手足の神経に異常をきたし、足の先や手の指に
しびれや痛みなどの感覚異常があらわれる合併症です。
これらは、手袋や靴下で覆われる部分に、“左右対称”にあらわれる特徴があります。
痛みが慢性化する場合や、進行して知覚が低下した結果、足潰瘍などになる方もいます。
自覚症状がある場合は、当クリニックにご相談ください。
糖尿病網膜症
網膜は眼底にある薄い神経の膜で、
ものを見るために重要な役割をしており、
網膜には光や色を感じる神経細胞が敷きつめられ
無数の細かい血管が張り巡らされています。
血糖が高い状態が続くと、
網膜の細い血管を圧迫し損傷を受け、
変形したりつまったりします。
血管がつまると網膜の隅々まで酸素が行き届かなくなり
その結果新しい血管を生やして酸素不足を補おうとします。
新生血管は脆いため出血を起こしやすくなります。
糖尿病網膜症は、
糖尿病になってから数年経過して発症するといわれていますが、
進行するまで自覚症状がない場合もあります。
まだ見えるから大丈夫と思っていても
知らないうちに症状が進行しているかもしれません。
糖尿病の人は目の症状がなくても定期的に眼科を受診し、
眼底検査を受けるようにしましょう。
糖尿病腎症
糖尿病腎症は、急に尿が出なくなるのではなく、
段階を経て徐々に進行していきます。
そのため、早期に発見し、適切な治療をすることが重要です。
原因:糖尿病で血糖値の高い状態が長期間続くと
全身の動脈硬化が進み、毛細血管の塊である腎臓の糸球体でも細かな血管が壊れ、網の目が破れたり詰まったりして
老廃物をろ過することができなくなるとされていますが
根本的な原因ははっきりしていません。
動脈硬化
人は血管から老いると言われています。
そのくらい血管状態はその人の肉体年齢を表すとされています。
糖尿病になると深刻な血管の老化が起こります。
血管の老化とは、血管の壁が厚く、また硬くなり柔軟性が失われ
血液の通り道が狭くなることでこれが動脈硬化です。
糖尿病に伴う動脈硬化は心臓や脳の血管をつまらせ、
「脳梗塞」や「心筋梗塞」の原因となります。
気になる治療方法について詳しく解説します
糖尿病による合併症を起こさないために、または今より悪くしないために
血糖値をコントロールすることが大切です。
血糖値を適切な範囲に保つことで
合併症の進行や他の合併症を起こすのを防ぐことができます。
健康寿命を延ばすことが血糖値をコントロールする目的です。
コントロールする方法は食事療法、運動療法、薬物療法と3つあります。
食事療法
糖質制限を推奨しています。
詳しくはふくろうだよりvol.22、vol.23、vol.27をご参照ください。
食事療法は体に取り込まれる糖の量や
バランスなどを調整するのが食事療法です。
- ゆっくりよくかんで食べる
- 朝食、昼食、夕食を規則正しく食べる
- バランス良く食べる
- 食事は腹八分目でストップする
- 夜中・寝る前に食べない
食事療法を効果的にするコツです。
うまく続けられない時は時々好きなものを食べても良いでしょう。
運動療法
運動によって、糖が使われます。
また、筋肉の量が増えると、糖をからだに取り込みやすくします。
また、脂肪が減ると血糖値を下げるインスリンが効果を発揮しやすい環境を作ります。
インスリンの効果を高めて血糖値を下げる運動には
有酸素運動と筋力トレーニングがあります。
ややきついと感じるぐらいの有酸素運動が効果的と言われており
筋肉量を増やして、筋力を増強する筋力トレーニングも効果があるといわれています。
最近の研究では有酸素運動と筋力トレーニングの組み合わせによって、
より良い治療効果があることがわかってきました。
今まで習慣がなかったのに
激しい運動を急に始めると思わぬ体の不調が生じます。
ストレッチや準備体操を行い、最初は軽い運動から少しずつ慣らしていきましょう。
薬物療法
色々な種類の薬がありますが主に注射薬と飲み薬があります。
注射薬ではインスリンの分泌を促す注射やインスリンを直接補う注射があります。
飲み薬ではインスリンの分泌を良くしたり、
食事で摂った糖の分解や吸収を遅らせるものなどがあります。
糖尿病治療を成功させるには
糖尿病は治すよりも上手にコントロールをする病気です。
がんばりすぎず、長くお付き合いをしていくことが最も大切です。
特に食事療法、運動療法は急激にがんばりすぎると続かない場合があるため
まずはできることから少しずつ取り組んでいきましょう。