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いい睡眠取れていますか? ~良眠を得る為に~ その③

今回で睡眠シリーズは最終回になります。

前回までは睡眠コントロールや精神のバランスに必要な
「セロトニン」と「メラトニン」についてお話しました。

その睡眠や精神のバランスに欠かせない神経伝達物質セロトニンは、
自然界の動植物に一般的に含まれる物質で、トリプトファンと言う物質から生合成されます。

人体中には約10mg程度が存在しており、そのうち約90%は小腸の粘膜にある
クロム親和細胞と呼ばれる細胞内にあり、消化管の働きに作用していると考えられています。

体内の残り10%のセロトニンのうち、
8%は血小板に収納され血液の循環を通じて体内を巡ります。

残りの僅か2%が脳内の中枢神経に存在しており、
そのたった2%のセロトニンが人間の精神面に大きな影響を与えていると考えられています。

さらに様々なホルモン(ペプチド性ホルモン=脳内ペプチド)を生産し、
多くの血管や神経が集まっている腸の状態は全身に影響を及ぼしています。

皆さんも経験があると思いますが、子供のころ試験前や
発表会などの前に緊張のあまり、急な腹痛や下痢に襲われたりしたことが…。

このように頭で考えることと腸の活動は密接につながっており、そのことが「腸が第二の脳」と呼ばれる所以です。

睡眠を良好にするためには、
まずセロトニン神経の活性を妨げる生活習慣を改善することが第一です。

朝起きて太陽の光を浴び、
適度な運動とバランスの良い食事を摂るなど、規則正しい生活を心がけましょう。

腸内細菌に良い食生活とは?

前述のトリプトファンは体内では生成できない成分で、
飲食物(牛乳・大豆(豆腐)・ゴマ・プロセスチーズなど)から摂取する必要があります。
また、セロトニン神経は各種のリズム運動によって活性化されるという特徴があります。

最も基本的なリズム運動として、歩行、咀嚼、呼吸のリズム運動があります。
これらのリズム運動はセロトニン神経を興奮させ覚醒状態を高める効果があります。
ですから、腹式呼吸・適度な散歩・自分の歯で噛む事、たったそれだけでも睡眠にとって大切なことなのです。

また、腸は人の生命維持にかかわる最も大切な器官で、
腸の粘膜の表面積は実に全身の皮膚のおよそ200倍ともいわれています。

腸は飲食物に含まれる栄養分を吸収する一方、
細菌やウィルスの感染を防ぐためそれらを吸収せずに便として体外に排出しなければなりません。

そのため血液中を流れる免疫細胞のリンパ球の多くは腸に集まっており、全免疫システム全体の70%が集中しているそうです。

また、人の腸の中には、約60~100種類、100兆個の細菌「腸内細菌」が住み着いており、腸内環境を安定化しています。
人間を構成する細胞が60兆個であることを考えると、100兆個という数がものすごい量であることに気づきますよね。

その腸内細菌の中でも、乳酸菌群であるビフィズス菌やラクトバチルス菌を代表とする
「善玉菌」は腸内を酸性にして病原菌の繁殖を抑え免疫力を高めたり、
食物の消化や吸収、ビタミンB群・K群の合成、腸管運動を促進してくれています。
良眠を得る為にはその善玉菌を増やし、腸内環境を良好に保つことも大切だと思います。

善玉菌を含むヨーグルト(無糖で100g程度)または味噌・醤油・ヌカ漬けなどの発酵食品は「毎日」食べ、
その善玉菌の大好物のオリゴ糖(キナコ、バナナ、たまねぎ、ゴボウ等に多く含まれる)も一緒に摂取しておくと良いでしょう。

きな粉をヨーグルトに混ぜたり、バナナ(中1/2本)にヨーグルトをかけて食べるか、お手軽ではオリゴ糖入りヨーグルトを毎日摂れば良いと思います。
更に便通を良くすることも大切で、そのためには食物繊維の多い食物(海藻類、根菜・豆などの野菜)をしっかりと摂取しましょう。

腸内環境は「ウンチ」を見ればわかる!

気をつけてほしい事は、腸内細菌の安定化に最も悪影響を与える因子「抗生物質」です。
ちょっとした怪我や原因の殆どがウィルスである風邪に、安易に抗生物質を内服しないことです。
やむなく内服するときは、漫然と長期間服用せず極力必要最小限の内服にしておきましょう。

そうした日々の配慮により腸内環境の安定化を図った結果は全て「ウンチ」に現れます。
そのウンチは食物残渣と腸内細菌やその死骸、水分から構成されています。
水分を除いた固形物のうち、食物残渣が1/3(食物繊維の多い野菜などを良く取れば2/3程度)、残りが菌です。

良好なウンチはビフィズス菌により色が黄色で、食物繊維が豊富なためフワフワした感じで水に浮かびます。
便秘がちで、黒くて固く臭いのキツイ便が出ている人は要注意で、食生活や運動などを見直しましょう。

皆さん、毎日「ウンチ」を観察して、睡眠のコントロール・精神の安定・生活習慣病の改善に繋げましょう。