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実は身近な病気・認知症とは? ~その本質と対応②~

前回から、認知症について紹介しておりますが、今回は認知症の色々なタイプについて説明したいと思います。

1. アルツハイマー型認知症

認知症の割合として最も多いアルツハイマー型認知症は、
脳にアミロイドベータという蛋白質がたまり正常な神経細胞が壊れ、脳萎縮がおこることが原因だと言われています。

しかしながら、アミロイドベータが蓄積する原因については明確なことは分かっていません。

アルツハイマー型認知症の発症にはこれまで加齢や遺伝が関係するということは明らかになっていましたが、
それに加えて近年、糖尿病や高血圧の方はそうでない方よりもアルツハイマー型認知症になりやすいことが科学的に証明されました。

そのため、予防には生活習慣の改善が重要であるとされています。

アルツハイマー型認知症の症状についてですが、初期(期間2~6年間)には、「忘れていることを忘れて」います。
例えば、食べた夕食の「内容」を忘れているのではなく、先ほど夕食を「食べたこと」自体を忘れてしまうといった症状が見られます。

中期(期間2~3年間)には、段々と「現在と過去の区別」がつかなくなります。
「最近」の記憶からなくなっていき、「過去」の記憶は比較的残りやすいです。結果としておこる症状として代表的なものが「徘徊症状」です。

例えば、過去の記憶通り朝に出社しようと家を出ていくが、途中で「本来の目的」を忘れてしまい外で混乱してしまう。
尿意や便意が分からず、失禁が目立ってくるようになります。

後期には、脳萎縮がさらに進行して、言葉の「数も意味も」失われていきやがては話が通じなくなります。

食事に集中できないため介助が必要になり、歩行が緩慢となり姿勢が前倒したり、左右どちらかに傾いていたりします。

やがて寝たきりになり、上下肢の関節が拘縮し、嚥下障害も出てその結果、栄養不良と誤嚥性肺炎が起こりやすくなります。

2. 脳血管性認知症

アルツハイマー型についで多く、認知症の20%を占める脳血管性認知症は、脳梗塞や脳出血など、脳の血管障害によって起こる認知症のことです。
脳の血管が詰まって梗塞巣が増えたり大きくなったりする毎に、徐々に脳の機能が低下して認知症や運動障害が引き起こされます。

原因となる血管障害は生活習慣病が原因で引き起こされます。
そのため高血圧・高脂血症・糖尿病等のコントロールが脳血管性認知症の予防に繋がります。

脳血管性認知症の症状についてですが、初期には意欲低下や自発性低下、夜間の不眠や不穏が目立ちます。
どれも症状の「変動が激しい」ことが多いです。
また影響を受ける脳の部位が限られており、できることとできないことがはっきりしていることが特徴です。

非常に小さな脳梗塞や脳出血が起こった場合は、自覚症状がない場合や、
感じてもふらつきやめまい程度であまり気がつかないことがあります。

中期以降では、脳血管疾患が原因で脳血管性認知症が悪化するので、発作が起こる度に症状が段階的に重くなります。

ダメージを受けた脳の部位によって出る認知症の症状が異なるため、
記憶障害がひどい一方で判断力は保たれているという「まだら認知症」がみられるのも特徴です。

3. レビー小体型認知症

これは、レビー小体という蛋白質が脳にたまって起こる脳の萎縮が原因だと言われています。
この蛋白質は「パーキンソン病」の原因にもなるやっかいな存在で、
認知症を伴うパーキンソン病と言われる症状は実はこのレビー小体型認知症だということも最近分かってきました。

しかしながら、なぜ異常な蛋白質がたまるのかはまだ解明されていません。

レビー小体型認知症の症状についてですが、
体の動きが緩慢になるパーキンソン病に似た症状で、歩行の障害や体の硬さを伴うため転倒しやすくなります。

また、色がついた鮮明な人・動物・虫などが昼夜問わず見える「幻視」や、更には映像に加えて「幻聴」も発生したりします。

睡眠時に夢にあわせて踊ったり、手足を動かしたり、
歩いたりする行動もとってしまう症状(レム睡眠行動異常) もあります。

認知機能障害も変動しやすく、良いときは話が通じるが、
悪くなると話も周りのこともわからなくなります。気分や態度、行動がころころ変わります。

4. 前頭側頭型認知症

多くは初老期に発症します。
原因はわかっていませんが、現在「ピック球」という異常構造物が神経細胞にたまる場合と
「TDP-43」という蛋白がたまる症例が発見されています。

そのため単一の病気というよりも、いくつかの疾患群と考えられています。
10年以上かけてゆっくり進行することが多いです。

前頭側頭型認知症の症状についてですが、人格や性格が極端に変わる、清潔保持・衛生面が管理できない、
柔軟な思考ができない、「恥ずかしい行為」を平気で行うなど反社会的な行動が増えるなど性格の変化が認められます。

他には、毎日同じ時間に同じコースを同じパターンで天候に関わらず繰り返し歩くなど、
決まった時間に同じ行動を繰り返さないと不機嫌になる。

車が通るという言葉をその場に関係なく言い続けるなど、
「その場と関係ない言葉」が繰り返し出てくる。
「電話」の事を質問してもわからないが、その「電話」を見て何をするものかはわかるなど、
物の名前が意味する事がわからなくなる事があります。

その他認知症症状を呈する疾患はありますが、
ここに挙げたタイプが殆どであり、紙面の関係上割愛します。(次回に続く)