食物アレルギーについて
厳しい寒さが続き、インフルエンザが猛威を振るっていますが、皆さん如何お過ごしでしょうか?
さて、今回は食物アレルギーについてお話ししたいと思います。
食物アレルギーには5つのタイプがあります。
- 乳児アトピー性皮膚炎:生後1~3ヶ月頃から顔や全身に湿疹。主に卵・牛乳・小麦が原因。
- 即時型食物アレルギー:原因となる食事(卵・牛乳・小麦等)の摂取後、2時間以内に皮膚や粘膜・消
化器・呼吸器症状が出る。0歳から1歳までに多くみられる。 - 口腔アレルギー症候群:後述
- 食物依存性運動誘発アナフィラキシー:後述
- 新生児・乳児消化管アレルギー:粉ミルクを飲んだ乳児が、下痢・血便・嘔吐・腹部膨満等の症状が現
れる。原因は牛乳蛋白のアレルギーで、24時間以内にゆっくり出現。
このうち1、2、5は子供に多くみられますが、
大人でも発症しうる特殊な病態としての3、4について詳述したいと思います。
まず、口腔アレルギー症候群ですが、生の果物や野菜、大豆(主に豆乳)などを食べた後に、
唇や口の中・のど・耳の奥などに痒みや腫れ・痛み・違和感などを感じます。
このアレルギーは特定の植物の「花粉症」と関連があるとされています。
例えばシラカバやハンノキなどの花粉症の人が
その花粉のアレルゲンと似た構造のたんぱく質を持つ果物などを食べた場合に、
アレルギー反応をおこすとみられています。
加熱した果物などでは症状がおきないことが多いとされています。
- スギ・ヒノキのアレルギーのある方 トマト等
- ハンノキ・シラカバのアレルギーの方 リンゴ・モモ・メロン等に反応
- ヨモギのアレルギーの方 セロリ・ニンジン等に反応
- ブタクサのアレルギーの方 メロン・スイカ等に反応
- カモガヤ・オオアワガエリのアレルギーの方 メロン・スイカ・キウイ等に反応
また、ゴム手袋をすると手が痒くなる等の経験がある人では
アボカド・キウイフルーツ・バナナ・パイナップル・クリ等を食べたときに、
口の中の違和感や蕁麻疹などのアレルギー症状をおこすことがあります。
これをラテックス・フルーツ症候群といいます。
呼吸困難や血圧低下といったアナフィラキシーをおこすこともあります。
続いて、食物依存性運動誘発アナフィラキシーですが、
これは主に学童期以降にみられるアレルギーで、特定の食べ物を食べてから
「数時間以内に運動」をすると症状が現れるものです。
特定の食べ物を「食べただけ」では症状はおきず、
特定の食べ物を「食べた後に運動」をすると症状が出るのが特徴です。
例えば、昼食後の休み時間、5時間目の体育の時間、
サッカーなどの運動系の部活の時間におきやすく、中学生の男子に多くみられる傾向があります。
学童・生徒の約12000人に1人の頻度でみられると報告されています。
症状は全身の蕁麻疹やむくみ・咳込み・呼吸困難などが現れ、
進行が早いため約半数は血圧が低下してショック症状をおこします。
至急救急車を呼んで病院へ搬送するなど迅速な対応が必要です。
原因となる食物は小麦・エビ・カニが多く、
複数の食べ物を同時に食べて運動することが原因となっているケースもみられます。
この症状がおきた場合は、早急にアレルギー専門医で検査・診断を受けましょう。
食物依存性運動誘発アナフィラキシーと診断されたら、
学校の先生などにもこの病気の特徴や原因食物、
症状などを伝え、症状がおきた場合の対応を話し合っておくことが必要です。
アナフィラキシーの疑いがある場合、
医師からアドレナリンの自己注射製剤(エピペンⓇ)を
携帯しておき、もしもの際には迅速に使用します。
この様に、食物アレルギーと言っても、
近年では命に関わる重篤な症状を引き起こす疾患もあり、
ご本人・家族だけではなく学校や地域の方の注意や連携が必要です。